専業主婦や学生のクレジットカード利用が制限される恐れが出ている。6月に完全実施される改正貸金業法では、借り入れ額を年収の3分の1に制限しているが、これらの非勤労者は「所得ゼロ」と見なされるためだ。百貨店や大手流通会社などが発行するカードはキャッシング機能も備え、海外旅行でATM(現金自動預払機)などによる現地通貨の引き出しにも対応するなど、高い利便性を発揮している。しかし、法改正により主婦や学生への融資が実質的に不可能になれば、消費をさらに冷え込ませる可能性もある。
法改正に伴い、すでに収入がない個人への貸し出しの中止を検討しているのは、プロミスなど消費者金融大手のほか、カード大手の三菱UFJニコスや三井住友カード、クレディセゾンなど。貸金業を手掛ける事業者の8割が中止の方向で検討しているといわれる。6月以降も新規貸し出しを行う方針を掲げているのはセディナなどの一部にとどまる。
新規貸し出しを中止する会社は配偶者などと一緒に発行する「家族カード」への切り替えを呼びかけている。また、個人収入がなくても配偶者の所得証明書や婚姻証明書などがあれば貸し出しを認める例外規定もある。
しかし、「そこまで審査に時間やコストはかけられない」というのが業界の大方の判断のようだ。
■貸付残高、年間1000億円減少も
クレジットカードによるキャッシングは、急な出費に対応する手軽な手段として、生活に浸透している。なかでも買い物によるポイント付与などの特典を充実させ、イオンクレジットカードサービスなどの流通系カード会社が顧客を増やしてきた。
女性顧客の多いクレディセゾンの場合、2750万人のカード会員のうちキャッシング機能の利用者は10%程度。同社のキャッシング利用は、給料日前にあたる毎月10~25日に数万円程度を借り入れ、翌月に返済するという生活費の補填(ほてん)パターンが多いという。今回の法改正により、貸付残高は年間1000億円減少する見込みだ。
クレディセゾンは、昨年2月ごろから利用者に対しダイレクトメールで法改正について通知を始めたところ、20万件の問い合わせが寄せられ、「3万~5万円を借りるのにもいちいち夫の了解が必要になるのか」といった苦情が多いという。
多重債務者問題を契機に2006年に貸金業法の改正が決定。金融庁は影響などを検討したが、予定どおり完全実施する。
大阪府が9日発表した貸金業動向調査では、融資の新規申込者に「年収の少ない人」「非正規雇用者」が増加していることが判明。生活困窮者が増えていることがうかがわれる。一時的な借り入れの道が閉ざされれば、弱者にしわ寄せがいく恐れがある。